写真提供:jennifereremeeva.com
7月が8月になるとモスクワではチェリーの季節が終わりを告げ、梅のシーズンが始まった。プラムの季節は夏の終わりが到来しつつあることを意味しているので、必ず甘さと苦さが混ざった切ない季節に感じられるのだ。なぜそれが甘さと苦さが混ざった切なさなのかというと、それはこの時期が、あの素晴らしい酸味に満ちたカフカースのプラムソースとニンニク、コリアンダーとディルが混ざったトケマリの季節だからでである。
トケマリの最大の友といえば鶏肉のタバカだ。この名前はグルジア語で重いフライパンを意味する「タパ」に由来しており、真ん中を左右半分に切り、もう一つのフライパンと重しをのせて肉を平らにして焼いた鶏肉の調理法のことを指している。さまざまな応用が可能なこの料理は週末のランチ、または日曜日の夕食にもってこい。
作り方は簡単で、小型の鶏やコーニッシュヘンの調理方法として、私のお好みのひとつになっている。この料理はロシアでとても人気なので、多くの店では鶏がすでに半分に切られた状態で販売されているほどだ。手羽を胸に折りたたむ複雑な方法がいくつもあるが、私はそのようなことに手をかけることはない。単に胸の骨を分割すれば済む話だ。
鶏肉のタバカの仕込みには多数の方法があり、2つの事柄が激しい論議の的となっている。鶏肉はグリルすべきか、それともフライパンで焼くべきか。また、肉はマリネにするか、それとも単にニンニクとスパイスをすり込むか、という点である。私はグリルの大ファンなのだが、グリルではフライパンで可能なパリパリ感を達成できないうえ、グリルから発生する煙はタバカの風味と調和しないように思われるので、ここではフライパンのオプションを選ぶことにする。マリネ対すり込みの論点に関しては、外交的なルートを選んで両方を採用することにした。私は、多少のマリネと、ほのかなニンニク、オリーブオイルとハーブ漬けを施したのに味がよくならなかったという鶏肉に遭遇したことがない。
材料: 小さな鶏あるいはコーニッシュゲームヘン、2羽 バター、大さじ4、小さじ1 オリーブオイル、大さじ2 白ワイン、1カップ アサツキまたはみじん切りにしたワケギ、大さじ3 ハーブミックス (タラゴン、バジル、ミント、 平らな葉のイタリアンパセリ): 細かく刻んだものを1束 マリネ: オリーブオイル、1カップ レモン1個分の皮 レモン1個分の汁 タラゴン、¼カップ 塩、大さじ2 ニンニク、3かけ すりこみ: 甘いパプリカ、小さじ2 赤唐辛子粉、小さじ半 砕いたコリアンダーの種、小さじ1 茹でたまたはローストしたニンニク、8かけ 良質のコーシャーソルト、小さじ2 数回ひいた黒胡椒 |
調理法:
1.柔らかく甘くなるまでニンニクを茹でるかローストし、置いておく。
2.マリネの仕込み:ステンレス製の刃がついたフードプロセッサーの中にすべての材料を入れ、2分間プロセスする。
3.刃渡りの大きいよく研いだ調理用包丁を使って鶏肉の胸の骨を半分にカットする。鶏を寝かせ、完全に平らになるまで肉たたきでたたく。
4.鶏肉の両側をマリネでおおい、ビニール袋か非反応性の蓋付きの容器に入れる。冷蔵庫で最低3時間、もしくは一晩寝かせる。
5.ローストした(または茹でた)ニンニクの皮をむき、残りの材料に混ぜてすりつぶす。これがすり込みの材料となる。
6.調理する1時間前に鶏肉を取り出し、ペーパータオルで水分を吸収する。鶏の皮側にさきほどの材料をすり込む。鶏肉を置いておき、室温になるまですり込んだ材料を吸収させる。
7.ソテー用大型フライパンにバターとオリーブオイルを入れ、強火で加熱する。バターがはね始めたら、鶏肉をフライパンに背を上にして配置する。3分間鶏肉を焦がすように焼いてから背が下を向くように裏返す。さらに3分間焦がしたら、中火/弱火にする。円形のベーキングペーパーをソテー用フライパンにのせ、その上により小さなフライパンか耐熱性のお皿を置く。大きな缶入りジュースなど、何か重い物を使ってフライパンに重しをのせ、鶏肉をフライパンの表面に押しつけて基本となる形状にする。
8.注意して弱火の状態を維持しながら、サイズに応じてさらに6~8分間調理する。
9.鶏肉を取り出してまな板に置き、両方ともフォイルでテント状にして15分間覆う。一方でソテー用フライパンを中火/強火で熱し、これにワインを注ぐ。煮立ったら弱火にし、木製スプーンの背側を使ってソテー用フライパンの残存物をかき取る。量が3分の1減るまでこれを熱にかけて混ぜ、その後バター、チャイブ、混合ハーブを加える。
10.浅い皿に鶏肉をのせ、その上にハーブソースを注ぐ。さらに新鮮なハーブをかける。温かいポテトサラダのほか、ピリ辛いキュウリとミントのサラダ、新鮮な果肉の多い大形トマトと少量のバジル、そして言うまでもなく、トケマリ・ソースがぴったり合う!
プリヤトノヴォ・アペティータ(おいしく召し上がれ)!
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