ハリウッド映画のロシア人役15選

アレクセイ・ボストリコフ艦長(ハリソン・フォード)、「K-19」

アレクセイ・ボストリコフ艦長(ハリソン・フォード)、「K-19」

Kinopoisk.ru
 ハリウッド映画には、マフィア、麻薬密売人、クレムリンのスパイといった強面のロシア人ばかりが登場する。ロシア人役の人気度を、ロシア・ビヨンドが独自に評価した。
  1. ゲナディ、「リミットレス」(2011年)

 主人公のエディ・モーラ(ブラッドリー・クーパー)が、ロシア人ギャングのゲナディ(アンドリュー・ハワード)の血を飲むという、奇妙極まるシーンのおかげで、ゲナディの印象は観客の記憶に強烈に残る。

 エディは、NZT薬を常用するようになるまで、創作危機に陥った大酒飲みの作家であった。NZTを飲んで世界一賢い男になり、ゲナディなどのギャングに追いかけられるようになった。ところが、薬の効果が消えてしまう。そしてゲナディの血に...

 

ゲナディ、「リミットレス」(2011年)

  1. タチアナ・ロマノヴァ、「007 ロシアより愛をこめて」(1963年)

 この007シリーズ映画第2作では、在トルコ・ソ連領事館のロシア人職員タチアナ・ロマノヴァが、ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)の女として登場する。タチアナを演じたのは、ミス・ユニバースの準優勝者でイタリアの女優ダニエラ・ビアンキ。ロシア女性の深みと矛盾する性質をかなりリアルに伝えている。真っ赤な唇のブロンド女性タチアナは、天使のような水色を身にまとってしとやかになったり、決断力と残酷さを見せたりして、観る人を驚かせる。とても美人である。

タチアナ・ロマノヴァ、「007 ロシアより愛をこめて」(1963年)

 

  1. サーシャ&アレクシス・カイダノフスキー、「パシフィック・リム」(2013年)

 地球の地殻からあらわれるゴジラに似たカイジュウと、異なる国の連合が戦う。ロシアのチームを率いるのは、カイダノフスキー夫妻。2人はタイガで何年も暮らすことを余儀なくされた。見た目も芯も強く、物静かで、何でも手配できる。自分たちの命を危険にさらしながら、中国全土を救う。

サーシャ&アレクシス・カイダノフスキー、「パシフィック・リム」(2013年)

 

  1. ゼニア・オナトップ、「007 ゴールデンアイ」(1995年)

 ジェームズ・ボンドはロシア女性に何度も恋している。ダークなアイシャドウと赤い口紅を好むこの女性とは、いろいろ大変だったが。冷戦が集結して9年経過したものの、ジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン)はやはりロシア人と距離を置こうとしている。ゼニア(ファムケ・ヤンセン)とはモンテカルロで知り合ったが、大恋愛には発展しなかった。それは正しかった。元ソ連テスト・パイロットであるゼニアは、テロリストのために働く悪党なのだから。

ゼニア・オナトップ、「007 ゴールデンアイ」(1995年)

 

  1. パヴェル・チェコフ、「スタートレック」(1979年)

 17歳の天才パヴェル・チェコフ(ウォルター・ケーニッグ)は冷戦のまっただ中に登場したが、優しい冗談をたくさん言い、エンタープライズ号の乗員を助けた。一方で、パヴェルの主な特徴の一つは、祖国に対する誠実な愛。「これを発明したのはロシア人」という発言をくり返す。他にも、「エデンの園」はモスクワ郊外にあった、ことわざ「一度だけ僕をだましたなら君の恥、二度も僕をだましたのなら僕の恥」が考案されたのはロシア、重要な宇宙の発見をしているのはロシアの天文学者、セロテープを発明したのはレニングラード(現サンクトペテルブルク)の老女などとも言っている。こんなに若いのに、飲み物はウォッカしかあり得ないという。

パヴェル・チェコフ、「スタートレック」(1979年)

 

  1. レヴ・アンドロボフ、ハルマゲドン「アルマゲドン」(1998年)

 アメリカ航空宇宙局(NASA)のクルーは、地球に近づく小惑星の内部で核爆弾を爆破させるため、ロシアの宇宙ステーション「ミール」での燃料補給を余儀なくされる。ミールにいたのは、1年半独りぼっちでここに滞在し、ヒゲを生やしっぱなしにしているレヴ・アンドロボフ大佐(ピーター・ストーメア)。映画制作者はアンドロボフを「典型的なロシア人」に仕上げた。酔っぱらいで、耳あてつきの毛皮の帽子をかぶり、赤い星のプリントされたTシャツ、テラグレイカ(綿入りの防寒服)を着ている。アンドロボフはアメリカ人の地球帰還を手伝う際、アメリカの制御盤を不思議そうに眺めた後、女性を乱暴に脇に押しのけ、工具で制御盤を叩く。すると奇跡的に作動する。

 

  1. イリーナ・スパルコ、「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(2008年)

 イリーナ・スパルコ(ケイト・ブランシェット)は、インディアナ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)の愛する人を誘拐して、強い磁気を発する長方形の箱を要求する。ギムナスチョルカ(軍服)、軍刀を身に着け、前髪をそろえて、奇妙なロシア語なまりで話していても、ケイト・ブランシェットは共産主義者やKGBというより、ガラドリエルである。ロシアの観客はこういったおかしなロシア人像にうんざりしているが、もうあきらめている。ロシアの女性役の主な基準は美女であり続け、スティーブン・スピルバーグ監督は、他の監督と同様、ブロンド美女にロシア名をつけて出演させた。

イリーナ・スパルコ、「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(2008年)

 

  1. アレクセイ・ボストリコフ、「K-19」(2002年)

 1961年、アメリカの海岸近くでソ連の原子力潜水艦が事故を起こし、放射性燃料が流出しそうになる。アレクセイ・ボストリコフ艦長(ハリソン・フォード)は、これを防ごうと必死に努力する。

 キャスリン・ビグロー監督は、2000年代初めのハリウッドとしては珍しい角度からソ連人を描写した。札付きのワルの詐欺師ではなく、愛国的な英雄であり、現実に合っている部分が多い。

アレクセイ・ボストリコフ、「K-19」(2002年)

  1. 「アンナ・カレーニナ」(2012年)

 レフ・トルストイの長編小説アンナ・カレーニナは何度も映画化されているが、この映画ではキーラ・ナイトレイ演じる主人公がひどく神経質で直情的である。19世紀後半の若妻とその愛の逃避行の物語の映画化は、難しい課題である。ロシアでは、たとえば、原作に忠実であることが強く要求され、解釈の自由は却下される。「あのカレーニナではない」と考えられたのはそのためである。

「アンナ・カレーニナ」(2012年)

 

  1. イワン・ドラゴ、「ロッキー4/炎の友情」(1985年)

 ソ連のヘビー級王者イワン(ドルフ・ラングレン)は、アメリカのボクシング・スターを倒して祖国の「人間改造技術の成功」を自ら示そうと、アメリカに来る。イワンは非情に戦ったが、相手には偶然勝利する。相手は死亡する。ロッキー(シルヴェスター・スタローン)は死亡した友人の復讐をするため、ソ連に行く。

 イワンはまるでアイフォンのように、次世代がでてくれば必要なくなる、気の毒な存在である。ロッキーとの試合中でさえ、祖国の観客はイワンのことを忘れ、ロッキーを応援する。

イワン・ドラゴ、「ロッキー4/炎の友情」(1985年)

 

  1. ナターシャ・チェンコフ、「ソルト」(2010年)

 イヴリン・ソルトまたはナターシャ・チェンコフ(アンジェリーナ・ジョリー)もまた、あり得ないKGB系の登場人物である。ナターシャはロシアの大統領を助けるため、また自分の名誉を守るために、動く自動車の屋根に飛び乗り、弾丸をよける。前髪をおろした三つ編みのヘアスタイルで、多額の予算を投じた大ヒット作にふさわしいスタントをくり広げ、複雑な策略の底へと観客を引き込む。

ナターシャ・チェンコフ、「ソルト」(2010年)

 

  1. イワン・ダンコー、「レッドブル」(1988年)

 1980年代~1990年代、ソ連ではアーノルド・シュワルツェネッガーとアメリカのアクション映画が大人気だった。モスクワ市警のイワン・ダンコー大尉も、当然ながらお気に入りキャラになった。映画にはおかしなところがたくさんあるものの、口数の少ないダンコーのセリフは流行語になった(「ソ連では仕事上のストレスをどうやって解消している」と聞かれ、「ウォッカだ」と答える場面など)。ダンコー大尉とシカゴ市警のアート・リジック刑事(ジェームズ・ベルーシ)の協力を、ウォルター・ヒル監督が優しく描いたことで、愛される作品になった。

イワン・ダンコー、「レッドブル」(1988年)

 

  1. ニコライ・ラチェンコ、「レッド・スコルピオン」(1988年)

 ドルフ・ラングレンは、「ロッキー4/炎の友情」と同様、ここでもソ連の「殺人機械」である。ロシアの映画評論家は、当時のハリウッドで一番スラヴ人らしい外見の俳優だったようだと、冗談を言っている(ラングレンはスウェーデン人)。

 主人公ニコライ・ラチェンコは、共産主義者に対する革命的なクーデターが計画されていたアフリカの国に派遣された、ソ連の兵士。ソ連政府はクーデターを許すことができず、ソ連・キューバ・チェコスロバキア連合を現地の原住民のもとへ送る。祖国のイデオロギー的なプロパガンダから離れたラチェンコは、共産主義は悪で、解放計画なんて嘘っぱちだと目覚め、寝返りを打つ。

ニコライ・ラチェンコ、「レッド・スコルピオン」(1988年)

 

  1. イワン・ヴァンコ、「アイアンマン2」(2010年)

 自分大好きなアイアンマンのトニー・スタークが、何百万ドルもどうやって使おうかと考え、スーパーヒーローのアーマーを変え、放射能で弱っていく間に、ロシアにはライバルが登場する。「これを発明したのはロシア人」理論を持つもう一人のロシア人イワン・ヴァンコ(ミッキー・ローク)は、トニー・スタークとその父親にスーパーヒーローのアーマーの技術を盗まれたと確信している。別のアーマーを発明し、自作のムチでスタークを切りに行く。

 ロシアの典型的なエンジニアがどんな風かを知っている人には、ミッキー・ロークのイメージはしっくりこない。ハンガリー出身でも、ドイツ出身でも、イタリア出身でも大差はなかった。ロシアらしいところは、ミッキー・ロークがロシアのクマ似だということである。

イワン・ヴァンコ、「アイアンマン2」(2010年)

 

  1. ナターシャ・ロマノフ、「アベンジャーズ」(2012年)

 主要なアベンジャーの1人、格闘術の専門家、数ヶ国語の話者、そしてセキュリティシステムをくぐり抜けてほぼすべてのことを暴くことのできるハッカー、ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)は、ハリウッドが好きなロシア女スパイのイメージの具現化である。アイアンマン2にも登場している。

 スターリングラード(現ヴォルゴグラード)で困難な子ども時代を過ごし、KGBで何年も特訓を受けた。共産主義者、陰気な警察官、筋肉ムキムキの酒のみの兵士といったロシア人のステレオタイプは、すっかり過去のものとなっている。今や登場するのは、レザーの服に身を包む、体格の良いセクシーなナターシャである。ハルクや新世代のミュータントにも対処できる。このようなロシア人女性像を、作家のニコライ・ネクラソフが、女性は「馬を疾走中に止め、燃え盛るイズバに入る」という有名な文に込めていた。

ナターシャ・ロマノフ、「アベンジャーズ」(2012年)

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