今すぐNETFLIXで見られるロシア製の映画とドラマ6選

‘The Silver Skates’ (2020), ‘Major Grom: Plague Doctor’ (2021), ‘Chernobyl 1986’ (2021)
 今すぐストリーミングで見られるロシア映画の中から、スリラーやアクションやロマンスなど、最も面白い作品をご紹介しよう。

『湖へ』(To the Lake、原題『伝染病』)、2019

 国外では最も知名度が高いロシアのドラマシリーズ。2020年にNetflix Originalとして公開が始まり、非英語のドラマシリーズの中で視聴回数は同年の8位につけた。もちろん、偶然にも同時期に起きていた新型コロナウィルスのパンデミックが、このシリーズの人気を手助けしたのは否めない。しかし、人気の最も重要な要因は、この作品の優れた脚本と、抜群の出来栄えだ。あのスティーヴン・キングもTwitterで「Pretty darn good… spaghetti western, only with snow」と本作を賞賛したほどだ。

 本作のストーリーは、未知の致死性ウィルスによって社会的・政治的危機が発生し、主人公らが自動車で安全な場所までの避難を決意するが、主人公グループの内部でも軋轢が生じる、というもの。原作は、ヤナ・ヴァグネルのベストセラー『ヴォンゴゼロ』。この作品がアメリカで刊行されたのが、ようやく今年になってからというのは不思議なほどだ。『ヴォンゴゼロ』はNew York Times紙が週の重要な新刊の一つとして紹介している。

『アリサ、ヒューマノイド』(Better than Us)、2018

 Netflixが、栄誉あるOriginalsのラインナップに加えた初のロシア製ドラマシリーズである。また、Netflixのロシア発作品では最長の16時間という大作だ。

 作品のコンセプトは、アイザック・アシモフ原作の映画『アイ、ロボット』(2004年)や、ノルウェー発のヒット作『Real Humans』(2012年)と共通している部分がある。舞台は近未来、アンドロイドは日常生活の一部となり、人間の仕事を低技能のロボットが代替している。検死官の家庭に現れたアリサは、新世代ロボットのプロトタイプ。彼女は感情を持ち、愛情や憎悪を抱くことが出来、自分の身を守り、アシモフのロボット三原則に反して殺人も可能だ。要するに、人間と同じなのである。

『チェルノブイリ1986』(Chernobyl 1986)、2021

 ダニーラ・コズロフスキーはロシア映画界の大スター。国外ではドラマシリーズ『ヴァイキング 〜海の覇者たち〜』(オレグ大公役)、『マクマフィア』、『Treason』、若者向けファンタジー『ヴァンパイア・アカデミー』などの出演でおなじみだ。しかし、映画監督としても手腕を発揮していることは、あまり知られていない。

 長編映画『チェルノブイリ1986』は、コズロフスキーにとって2作目の監督作品だが、ほぼ同名のライバル作品によってやや出鼻をくじかれてしまった。米英合作のドラマシリーズ『チェルノブイリ』(2019年)のリリース時、コズロフスキーは既に撮影に入っていたが、状況的にどうしても「ロシア側のアンサー」として見られるようになった。

 実際には万事もっとシンプルで、どちらも良い作品であり、似通った部分もあれば異なる部分もある、というだけだ。本作は独創性の高いビジュアルが特徴のカタストロフィ映画であり、決して善人とは言えない主人公の消防士アレクセイ(コズロフスキー自らが演じている)が、ヒーローにならざるを得ない状況に追い込まれる物語だ。

『シルバー・スケート』(Silver Skates)、2020

 実に美しい、クリスマス・ロマンス映画。ストーリーライン自体はシンプル。舞台は19世紀末のサンクトペテルブルク、街に張り巡らされた水路は冬の到来とともに凍ってスケートリンクのラビリンスのようになる。スケート靴を持っている者が、街を制する。特に冬の間に躍動するのは、マルクス主義者のアレックスを首領とする、スケートを履いたスリ集団だ。ひょんな事からそのスリ集団に加わることになった、点灯夫の子で善良なマトヴェイ。そしてロマンス物語によくあるように、貧しい彼は貴族の娘アリサに惚れてしまう…

 アメリカの女流作家メアリー・メイプス・ドッジの著作をベースに、『湖へ』の制作にも参加したロマン・カントルが脚本を書いた。現在、カントルと、本作で監督を務めたミハイル・ロクシンはミハイル・ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』の映画化企画を進行中だ。

『刑事グロム VS 粛正の疫病ドクター』(Major Grom: Plague Doctor)、2021

 アメリカやフランスと比較すると、ロシアのコミックスの歴史はまだ浅い。しかし近年はコミックス分野の成長著しく、次第に映画界にも影響を及ぼし始めている。『刑事グロム』は、ロシアで初めて潤沢な予算で映画化されたコミックス作品である。制作陣は、これがマーベル・ユニバースのような映画世界の先鞭となることを想定している。

 このアクション・アドベンチャーの舞台は並行世界。清廉かつ野性的な刑事のグロム少佐は、疫病ドクターを自称する人物と対峙する。ストーリーそのものに新規性は無いが、サンクトペテルブルクの街が醸し出す独特の雰囲気と、ユーモアを交えたアクションシーンが本作の見所だ。

『スパルタ』(Sparta)、2016

 バーチャル世界が現実世界に及ぼし得る影響を描いた、引きこまれるスリラー。授業中に突然、窓から身を投げる教師。捜査官は捜査を進めるうち、投身自殺した教師の受け持ちクラスの子供達が、ある極めて残酷なコンピューターゲームをプレイしていることに気が付く。

 本作の採り上げるテーマは、スティーヴン・スピルバーグの『レディ・プレイヤー1』や、Netflixのドラマ『キス・ミー・ファースト』とも相通じる部分がある。監督は、文豪ニコライ・ゴーゴリのファンタジー伝記映画にしてファンタジック・ホラーの『魔界探偵ゴーゴリ』で名を馳せたイゴール・バラノフ。

 メインキャストの一人であるアレクサンドル・ペトロフもまた、ロシア映画界のスーパースター。彼はリュック・ベッソンのアクション映画『ANNA/アナ』に出演したことで国際的知名度を得た。またペトロフは、近々公開予定のロマン・ポランスキーの新作『The Palace』にも出演している。

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