ソ連の子供向け映画10選

Leonid Nechayev/Belarusfilm, 1975
 ソ連では新しい世代の教育に熱心だった。子供や青少年向けの映画は、将来の共産主義の構築者に正しい価値観を植え付けるものだった。

1.『歪んだ鏡の国』1963

 いたずら好きの女の子オリヤが、鏡を通って魔法の世界に迷い込み、そこで自分の分身であるヤロと出会うおとぎ話。この世界ではすべての名前が逆さまになっている。王はヤグポップ(逆さまになったロシア語の「ポプガイ 〈オウム〉」)と呼ばれ、その首相はアバジ(ジャバ  〈ヒキガエル)とヌシロック(コルシュン 〈鳶〉)。オリャとヤロは、グルド(ドルグ 〈友人〉)という名前の少年を処刑から救うために、悪やさまざまな障害に立ち向かう。

 無事に家に帰ったオリャは祖母に、自分を外から見ることができたからこれからは行儀良くするつもりだと話す。

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2.『ようこそ、あるいは関係者以外立ち入り禁止…』1964年

 夏、ピオネールキャンプ。厳しい所長のダイニンはすべてのルール(不条理なルールも)をみんなに従わせ、ピオネールのコスチャを素行が悪いため追放する。しかし、少年はキャンプから出て行かず、演説台の下に密かに住みつき、友人たちが彼を訪ねてやってくる。その時キャンプでは、両親がキャンプを訪れる日に行われるコンサートの準備をしている...

 エレム・クリモフのコメディは、過度な風刺を入れたため深刻な検閲に直面した(この映画では、ニキータ・フルシチョフが栽培を促進したトウモロコシも嘲笑されている)。 しかし、この映画を当人のフルシチョフがいたく気に入り、彼は個人的にこの映画の公開を許可した。今日、この映画はソ連で育った人にとって最も好きな映画の一つであり、ピオネールキャンプを描いた最も面白いコメディである。

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3.『モロスコ』1965

 モロスコの民話に基づいたこの映画は、シンデレラの話に少し似ている。意地悪な継母は、夫の連れ子の娘、控えめで美しいナステンカを嫌っている。その代わり継母は自分のわがまま娘のマルフーシャを甘やかし、ナステンカのことが好きなハンサムなイワンと自分の娘を結婚させたいと考えている。

 冬に継母はナステンカを凍えさせようとして、夫にナステンカを森に連れて行くように言う。しかし、少女は森を歩いていたジェド・モロースに助けられ、ジェド・モロースは「お嬢ちゃん、暖かいかい?」という質問に、凍えた控えめな少女が「はい」と答えることに驚いた。

 1965年にこの映画はヴェネツィア国際映画祭の青少年部門でグランプリを受賞し、その後本国でも全ソ連賞を受賞した。

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4.『ママ』1976

 このミュージカル映画は、おとぎ話『オオカミと七匹の子ヤギ』を少し変えたものだった。お母さんヤギが買い物に行っている間、オオカミが子供たちをさらい、身代金を要求する。リュドミラ・グルチェンコミハイル・ボヤルスキーというスターが主演。

 ソビエト・フランス・ルーマニアの共同製作であるこの映画は1977年にヴェネツィア子供青少年映画祭で審査員特別賞「銀杯」を受賞した。

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5.『ブラチーノの冒険』1976

 みんなに愛されているこの2部構成のミュージカル映画は、アレクセイ・トルストイの小説『黄金の鍵、あるいはブラチーノの冒険』を基にして制作され、カルロ・コッローディの『ピノキオ』を再構成したものである。確かに、ピノキオはイタリアのピノキオとは異なり、嘘をついても鼻は伸びない。

 この映画には、ウラジーミル・バソフやローラン・ブイコフからリナ・ゼレナヤまで、有名な俳優たちが出演した。この映画の音楽は、有名な映画音楽作曲家のアレクセイ・リブニコフが担当した。

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6.『エレクトロニクの冒険』1979

 ソ連でグロモフ教授が人工知能を備えたロボット、エレクトロニクを製造した。ロボットは普通の少年のように学校に通い、信じられないほどの知識と学習の速さを示す。エレクトロニクは感情も体験し始め、他の子供たちと友達になるが、犯罪目的で彼を利用しようとする犯罪組織がエレクトロニクを盗む。

 この3部構成のミュージカル映画は熱狂的な人気を誇り、その中で使われている曲は非常に人気がある。最も有名なものの一つは、ユーリー・エンチンと作曲家エフゲニー・クリラトフによる『羽付きブランコ』だ。

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7.『さすらいの物語』1982

 架空の王国に、黄金を見つけることのできる魔法を使えるマイという名前の少年が住んでいた。しかし、その魔法を使用するたびに頭痛がしたため、姉マルタは魔法を使うことを禁じ、彼らは貧しい生活を送っていた。ある日、悪者のゴルゴンが彼の超能力を利用しようと少年を誘拐する。その後、勇敢な姉が兄を探しに行き、10年間放浪した後にやっと彼を見つけた。

 アレクサンドル・ミッタ監督によるこの映画は、チェコスロバキアとルーマニアと共同制作され、ファンタジーやおとぎ話の要素を組み合わせており、深い哲学的な色合いもある。そのため、大人向けの映画として扱われることが多い。

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8.『ペトロフとワセチキンの冒険 平凡で信じられない冒険』1983

 二人のピオネールの友人、勇敢なペーチャ・ワセチキンと内気なワーシャ・ペトロフは、クラスメートのマーシャ・スタルツェワに恋をしている。

 人とも自分の才能をマーシャに見せびらかし、自己主張をしようとする(多くの場合、相手を犠牲にして)。

 『ペトロフとワセチキン』はソ連のピオネールみんなのお気に入りの映画の一つとなった。2部構成のコメディには、音楽や歌、そして子供たちが演じる演劇的要素がふんだんに使われている。この映画には続編『ペトロフとワセチキンの休暇』(1984年)がある。

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9.『メリー・ポピンズ、さようなら』1983

 この映画は、イギリスの作家パメラ・トラヴァースの風変わりな家庭教師メリー・ポピンズを描いた作品をソ連中で有名にしたミュージカルである。メリー・ポピンズは厳格だが公正で、鳥と話すことができ、自分を興味と喜びの目で見てくれる子供たちを育てるのが上手だ。

 主役はナタリア・アンドレイチェンコが演じ、タチアナ・ヴォロニナが映画の中で主役の歌を歌った。この映画の中の音楽はソ連にいくつかの不朽のヒット作をもたらしたが、その中で最も有名なのは「変化の風」だ。

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10. 『未来からの来訪者』1984

 コーリャ・ゲラシモフは突然百年先へとタイムスリップしてしまう。未来のモスクワを歩いていた彼は、教授の娘である美しい少女、アリサ・セレズニョワと出会う。

 この5部構成のSF映画は、キル・ブルィチョフの小説『百年後』を基にしている。学校の休暇中に映画館で上映され、子供たちの間ですぐに大人気となった。国中がアリサ・セレズニョワに夢中になり、映画の主題歌「美しいものは遠い、私に残酷なことをしないで!」は 空前のヒットとなった。

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