「静かな狩猟」という森の瞑想

ワディム・スミルノフ/タス通信
 キノコ採りは、ロシアにある昔からの瞑想手段。キノコ探しに夢中になりながら森の中を歩き、日常から解放され、自然と調和する。キノコはとてもおいしいため、採るためだけに郊外に行く価値も十分ある。

 夏が訪れると、郊外行きの交通機関では、歩きやすい格好をした人や集団をよく見かける。リュックサックなどの旅行用品の代わりに、大きなカゴを持っている。他の乗客と異なり、待ち受ける冒険を前に興奮している。大好きな「キノコのある場所」に向かっているキノコ採りの人々だとわかるのに、時間はかからない。

 「静かな狩猟(キノコ採り)」は、ロシアの典型的な趣味である。食用キノコ探しの真の熱狂を、他の国で見たことはない。狩り、魚釣り、野生のベリー採りよりも真剣で、根底にはグルメ的な関心がありそうだが、それだけに限らない。これを一連の儀式のある秘密の活動ということができる。

 私の両親は、熱烈なキノコ採取者。覚えている限り、休日になると、必ずキノコ採りにでかけていた。父は数ある森の中で、どこに行けばたくさん採れるかを知っていた。そして間違えたことはなかった。これは特別な感覚であり、残念ながら、私には遺伝しなかった。私たちは森の中ではバラバラになり、それぞれの道を進んだ。「静かな狩猟」では、無駄話はせずに、最大限にキノコ探しに集中しなければならない。キノコは優しい採取者を愛するという。良い人であれば、その人の進む道にたくさんのキノコが並び、カゴに入りたがる。

 諸外国とは異なり、ロシアで崇められるのは、森の野生のキノコである。キノコには一定の等級があるが、主観的というか、場当たり的である。熱烈なキノコ採取者は、何らかの森のキノコがどのカテゴリーに当てはまるのかについて、激しく議論する。

 第1カテゴリーまたは最高級のキノコは、白キノコ、キンチャクヤマイグチ、アミタケ、チチタケ、ナラタケ、アンズタケ、アカモミタケ。栄養価、味ともに最高である。これらのキノコは、焼く、蒸す、ゆでる、塩漬けにする、といったあらゆる手段で調理する。乾燥させ、冬になったら水でもどして料理したりもする。第2カテゴリーは、ベニタケ、カラハツタケ、アミガサタケ、アワタケ、ハラタケなどで、それほどおいしくはなかったり、事前の熱加工が必要になったりすることもある。だが、ロシア料理にはよく使われる。

 私の一番のお気に入りは白キノコ。ジャガイモと一緒に焼いて食べると最高だ。

 

揚げ焼きジャガイモとキノコ

Cristina.Sanvito / FlickrCristina.Sanvito / Flickr

材料

・   ジャガイモ 800グラム

・   タマネギ 2個

・   植物油

・   塩

・   コショウ

・   新鮮なハーブ

作り方

1.     新鮮なキノコを洗って下処理し、細切りにする。タマネギを千切りにして、フライパンに油をしいて、半透明になるまで炒め、キノコを加える。中火で炒める。炒めると、キノコは半分ぐらいの大きさまで縮み、汁が出る。15分ほど炒めて、汁を完全に蒸発させる。

2.     ジャガイモを細切りにして、フライパンに加え、キノコとしっかり混ぜる。10分ほど炒めたら、ジャガイモの状態を確認する。しっかりと焼けてやわらかくなったらできあがり。

3.     私はカリっとしたジャガイモの食感が好きなので、フライパンに蓋をせずに炒めて、最後に塩とコショウをふる。

 そして混ぜて、パセリやディルをかける。テーブルに運ぶ。

 ボナペティ!

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