もっとも有名なスラヴのスープのひとつは――ボルシチだ。ビーツで作るボルドー色のスープは、レストランではなく、自宅で、客に招かれた先で、パンプーシュカ(揚げパン)と、あるいはボロジンスキー・パン(黒パンの一種)とサーロ(豚脂身の塩漬け)と一緒にいただくのが最高だ。このスープは脂っこくて美味しいのだが、夏にはもう少しさっぱりとした軽いものが欲しくなる。そこで、ビーツスープの出番だ。
ビーツスープももちろんビーツで作るが、色はもっと変わっていて深紅になる。これは季節の料理だ。というのも、基本の材料であるビーツ、キュウリ、ハーブが夏の菜園で栽培されるものだからだ。これにケフィールと卵を加えれば、スープの出来上がり! 冷やして出すと、暑い日には特にいい。このスープが別名「ホロドニク(冷たいスープ)」というのもこのためだ。
古代ルーシでは、ビーツはおよそ10世紀から知られていたが、広く普及したのは14世紀からだ。ビーツスープは早い時期から、ロシアの料理本に出てくる。クワスにビーツを入れて女中用に作られていた、手軽な精進用のスープだった。少し後になると、このスープに、キュウリや卵、肉製品を加えるようになった。ラディッシュやクエン酸(レモン汁)を入れる人たちもいる。
ケフィールにビーツを入れて作るすぐにできるダーチャ向けのレシピをご紹介しよう。
ビーツを洗い、火が通るまで茹でる(1時間から1時間半)。ここまでを前夜にやっておくと調理時間が短縮でき、ビーツも冷めるのでいい。
卵を固ゆでにする
キュウリとソーセージをさいの目切りにする。ソーセージの代わりに、ハムや茹でた鶏肉でもいい。
茹でたビーツの皮を剥き、鬼おろしですりおろす。
ゆで卵の殻を剥き、2つは細かく刻み、残りの1つは飾り用にとっておく。
鍋に、すりおろしたビーツ、キュウリ、ソーセージ、卵を入れ、ケフィールを注ぐ。ケフィールのおかげでスープに酸味が出る。濃度が濃すぎたり、材料がすべて浸り切らないようなら、お湯を足してもいい。全体をかき混ぜて塩を加える。
スープを30分ほど冷蔵庫で寝かせ、冷やして味を浸み込ませる。
できあがったビーツスープを皿によそい、ハーブ(ディル、ネギ、パセリ)を散らす。半分に切ったゆで卵をのせサワークリームをかける。一緒に、じゃがいものピューレか、ソテーしたじゃがいもを添えるといい。
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