ロシアのバーニャについて知っておくべきすべてのこと(入り方のアドバイス+写真)

Degtyarnye banya
 ロシアの人々が、体をきれいにするだけでなく、情報を交換し、新しい人と出会い、休息をとり、ビジネスをする・・・ロシア人にとってもっとも重要な場所の一つ、それがバーニャである。ロシアのバーニャについて知るべきもっとも大切なことを1つの記事にまとめた。

ロシアのバーニャは他のバーニャと何が違うのか?

 ロシアのバーニャは、湿度の高いトルコの公衆浴場ハマムとも、乾燥したフィンランドのサウナとも似ていない。どちらかといえば、その中間のようなものである。ロシアのバーニャの空気はある程度の湿度が保たれている(湿度40%以下)が、温度は60〜90度でなければならない。

 湿った暖かい蒸気は、乾燥した熱い蒸気よりも快適であるため、ロシアのバーニャはその中に長めに「座る」ものとされている。バーニャのかまどは閉められた状態で使われ、薪で温められる。バーニャの中には、温められた石が置かれ、そこにときどき水をかけて、蒸気を作りだす。

 ロシアのバーニャに欠かせないものといえば、ヴェニクと呼ばれる枝箒(樫または白樺で作られる)。普通、ヴェニクは、半時間ほど冷たい水に浸けておき、それから70〜80度のお湯に浸け、それから希望者たちを「鞭打ち」にする。もちろん、事実上、薪で焼かれた後に、ヴェニクで「打たれる」という表現は正しいものではなく、その「鞭打ち」は何か楽しく、心地い良いものである。事実、バーニャは体全体のユニークなデトックスであり、免疫を高めるものでもある。

伝統的なロシアのバーニャ

 一般的に、伝統的なロシアのバーニャというのは、2つのスペース―サウナ室と待機部屋―を備えた丸太小屋である。サウナ室ではサウナを楽しみ、体を洗い、待機部屋では着替えをしたり、小休憩をとったりする。この丸太小屋のバーニャはロシアの画家たちにもよく描かれている 。

ボリス・クストジエフ、ロシアのウェヌス 1926年

 かつてバーニャは「黒い」ものであった。「黒バーニャ」のかまどには煙突がついていなかったため、煙は部屋の中に立ち込めた。煙を追い出すのに少しドアを開け、その後しばらくしてから、サウナを楽しんだ。そのため、サウナ室の中の壁は煤で真っ黒になっていた。煙突のついた「白い」バーニャが登場したのは後のことであるが、現在はほとんどのバーニャが「白バーニャ」である。

 現在のロシアのバーニャには、自動車に繋がれたものから、大理石で設られ、モノグラムや円柱がついたものなど、実にさまざまな種類がある(重要なのは温度と湿度を正しく保つこと)。

 もっと驚くような変わったものもある(実際、よく言われるように、ロシア人が行くところには必ずバーニャがある)。宇宙のバーニャや水中のバーニャなんてものも

バーニャに行くのはどんな人?

 バーニャはかつてのように生活になくてはならないものではなくなり、地元の人々の娯楽、観光客のアトラクションになったなどという話を聞いたことがあるかもしれない。確かに部分的にはそうとも言える。実際、バーニャは、家族全員で体をきれいにしたり、病の治療をおこなったり、悪魔祓いをしたり、出産をしたり、子どもに洗礼をしたり、占いをするといったようなかつての聖なる意味は失った。そして多くのロシアの家には浴室があり、誰もがバーニャに行く時代ではなくなった。
 しかし、ロシアの公共のバーニャは今も、多くの人々にとっての交流の場であり続けている。常連客は概して、30〜40代、それ以上の男女である。最近ではいわゆる「ホワイトカラー」の若者たちの姿を見かけることも多くなり、バーニャの中にレストランやスパ、マッサージサロンが置かれているところもある。

 ロシアのバーニャに行くときに心の準備をしておかなければならないことといえば、バーニャで繰り広げられる会話のテーマが非常に幅広いということである。ブロガーのアンナ・アルテミエワさんは、そこで耳にするのは開けっぴろげな会話で、不快なテーマや面白おかしい話もあると注意を促している。アルテミエワさんはロシア中のバーニャを訪れ、そこでの体験をブログに記している。たとえば、完全に裸にならない利用客にはどのような目が向けられるか、あるいはいかにしてバーニャでコンプレクスを払拭できるかなどである。

バーニャに行く前に知っておくべきこと

 バーニャの体験を良い思い出にするためには、守るべきいくつかのルールがある。たとえば、バーニャに入る前にはあまり食べないこと、そしてアルコールは控えること。このルールはおそらく、往々にして破られることの多いルールの一つであるが、アルコールと高温という組み合わせは身体に有害である。バーニャに入っている間はハーブティーを飲むのがよい。ロシアのバーニャに何を持っていくべきかについては、こちらの記事で詳しく説明しているので、ぜひ参考に

 そして、バーニャ体験を悪夢にするような微妙な注意点がいくつかある。バーニャの常連客について、ビキニに対する批判について、雪に飛び込むことについてはこちらから

ビジネスのパートナーをバーニャに誘ってもよい?

 答えはイエス。これはルーシ時代から伝統的に行われてきたことである。個人のバーニャは商人の屋敷で非常に重要なものであった。商人たちは、お茶の席、列車の中、教会(教会の地下で商売が行われることはよくあった)、劇場など、別の場所で知り合い、商談をした。そして、最後の契約の段階でバーニャに行くのである。それはなぜか?その理由はこちらから

 現在、未来のビジネスパートナーをバーニャに誘うというのは、古代ルーシとは違った意味を持つかもしれない。しかし、リラックスした気持ちで会える場所という意味では、今もバーニャは大切な選択肢の一つとなっている。

観光客に好まれるのはどんなバーニャ?

 モスクワにある伝説のサンドゥノフ・バーニャは、間違いなく、観光客にとってもっとも美しく、もっとも人気のある場所である。文豪レフ・トルストイや詩人のアレクサンドル・プーシキン、さらにはロマノフ王朝一家も、ここで大理石の円柱や彫像に囲まれてサウナを楽しんだ。

 あわせて読みたい: トルストイやチェーホフも訪れたモスクワの伝説のバーニャ、サンドゥノフ(写真特集)

 サンクト・ペテルブルクにも歴史的なバーニャがある。もっとも人気のバーニャの一つがワシリエフスキー島の「インビーリ」である。建物は19世紀に、バーニャのために建てられたもので、以来ほぼ200年にわたり、人々が入浴したり、休息をとったりしている。このバーニャをはじめとした北の都の歴史あるバーニャについてはこちらから

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