アルタイの遊牧民の移動式家屋「ゲル」

 カザフスタン、中国とモンゴルの間にあるアルタイ山脈は何世紀にもわたり、数多くの遊牧民族の住処だった。移動し続ける遊牧民 でも、時々一カ所に住み着くこともある。このような時期には、遊牧の生活に適したフェルトのゲル(家屋)で生活する。

 ゲルは僅か30分で組み立てることができる。20世紀半ばのモンゴルには、寺院と修道院以外、建物はほとんどなかった。モンゴルの 人々は皆ゲルに住み、遊牧を続けていた。

ゲルを組み立てる第一歩は、ハーンという折り畳みの格子を開き、ゲルの壁の部分を作ることだ。
ゲルの内部は、仕切りを使って部屋を作ることができる。

 今日もゲルはその意義を失っていない。何千人ものモンゴル遊牧民が未だにゲルで生活している。 

通常、ゲルの下の部分は4~6個の木製の格子壁でできている。

 モンゴルの村人は頻繁に観光客を迎え入れ、馬乳を出し、馬で山のツアーに連れて行き、地元の羊毛で作ったフェルトのお土産を売っている。

ゲルの屋根はポールと枠になる輪でできている。

 アルタイの村で、人々は平らな屋根の家を建てる。例えばコシュ・アガチの村にはこのような家しかない。

 ゲルの内部は、色とりどりのラグで断熱してある。しかし、文明はここにもある。多くの羊飼い達はアルタイのステップでも太陽電池を使っている。

ポールの片側が尖っていて、もう一方にはロープの輪がかけられる。尖った先はトノという円形の枠に挿し、もう片方は格子のハーンに置く。

フレームと主なポールを設置した後、ゲルの入口にドアが取り付けられる。昔は、フェルト製のカーテンがドアとして使われた。

外枠にはフェルトのマットが置かれ(二枚重ねにすることもある)。その上にフェルトを雨や雪から守るための素材が置かれる。
これでゲルができ上がった。あとは中に花を置き、家財道具を並べ、新居を祝うだけだ。ゲルは二人でも組み立てられる。

これは客用のゲルで、普通のものよりエレガントだ。遊牧民のゲルはもっと簡素。

 モンゴルのゲルのドアはいつも南向きだ。時間が分かるように、遊牧民は必ず南向きにゲルを建てる。ゲルの上部の穴から陽が差し込み、その明かりは一日を通して壁を伝っていく。

 ゲルの中のどこに日が当たっているかで、時間が分かる。夜明けから夕暮れまではゲルのフレームを構成する29本のポールにより、29時間に分けられる。

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