クレムリンの聖堂広場
Nikolai Galkin / TASSモスクワを知るには、その最も中心的な存在から始めるのがいいだろう。ロシアの歴史の揺り籠、クレムリンだ。歴史的建築群が目を楽しませてくれる敷地内を散策しながら、美しい望楼や宮殿を観賞できるし、「大砲の皇帝」や「鐘の皇帝」も見ることができる。また、聖堂広場には必ず立ち寄って、ウスペンスキー大聖堂、アルハンゲリスキー大聖堂、ブラゴヴェシェンスキー大聖堂のクレムリン三大大聖堂を訪れてほしい。
クレムリン「武器庫」博物館
Vladimir Vyatkin / Sputnikもし時間に余裕があるなら、敷地内にある博物館でロシアの歴史に触れてみよう。クレムリン「武器庫」博物館では、歴代ツァーリの王冠、馬車、戴冠式のドレス、王権を象徴する宝物(レガリア)、またツァーリの身の回りの品々、貴金属や宝石で制作された芸術品などが展示されている。
オフィシャルサイト:kreml.ru
赤の広場に立てば、そこはロシア国立歴史博物館の建物に文字どおり取り囲まれている。まずはもちろん、ロシアの「テレム」(小城のような木造の望楼風御殿)を思わせる赤い煉瓦造りの本館だ。この本館でどんな展示を見ることができるのかについては以前詳しくご紹介したが、ロシア国内で発見された石器時代の貴重な考古学的遺物、古代の武器や絵や道具、さらには宮廷付きの職人が制作し歴代ツァーリに使用されていた貴重な宝石細工なども見ることができる。また、博物館では常に興味深い特別展示も開催されている。
ロシア国立歴史博物館のホール
State Historical Museum歴史博物館本館から赤の広場を挟んで反対側には、ポクロフスキー大聖堂(堀の生神女庇護大聖堂)がある。一般には聖ワシリイ大聖堂という名でより知られているところだ。この大聖堂も国立歴史博物館の分館であり、11の教会が一つになった大聖堂である。
聖ワシリイ大聖堂
Legion Mediaそのほか、1812年祖国戦争(ナポレオン戦争)博物館や、16~17世紀のモスクワの大貴族をテーマにしたロマノフ家博物館も国立歴史博物館を構成する一部となっている。
オフィシャルサイト:shm.ru
トレチャコフ美術館本館
Legion Mediaモスクワで最も有名な美術館の一つであり、世界最大のロシア絵画コレクションを有する。ラヴルシンスキー通りの本館にはイコン(聖像画)、そして古代から20世紀初頭までの絵画が所蔵されている。コレクションの基礎となったのは、商人パーヴェル・トレチャコフの個人的な収集作品群だ。彼は自身の財産で美術館の建物を建設し、モスクワ市に寄贈した。
取れりゃ古府美術館本館に展示されているアレクサンドル・イワノフの「民衆の前にあらわれるキリスト」
Legion Mediaクリムスキー・ヴァルにある新館では、ロシア・アヴァンギャルド(マレーヴィチの「黒の正方形」も)やソ連社会主義リアリズムの作品を含む、20~21世紀のロシア絵画コレクションが展示されている。
本館・新館とも定期的にロシア人画家(だけではないが)の特別展が開催されている。また、トレチャコフ兄弟記念博物館(パーヴェル・トレチャコフとセルゲイ・トレチャコフの兄弟が育った家を博物館にしたもの)、そしてヴィクトル・ヴァスネツォフ記念博物館もトレチャコフ美術館の分館となっている。
オフィシャルサイト:tretyakovgallery.ru
「プーシキン美術館」と人々に呼ばれているのが、古代から現代に至るまでの西欧美術のコレクションが集結したアレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン記念国立美術館だ。
本館には、古代ギリシア・ローマ、中世、ルネッサンス時代の美術品及び傑作建築の膨大な数のレプリカが保存されている。また、中世の画家たち(サンドロ・ボッティチェッリ、ルーベンス、エル・グレコなど)の膨大なコレクション、古代エジプトをはじめ世界中の考古学的遺物も所蔵している。
現在の「プーシキン美術館」は複数の施設からなる一大複合美術館だ。フランス印象派やそのほか19~20世紀の西欧画家作品が収められたヨーロッパ・アメリカ美術ギャラリーや、ピアニストのスヴャトスラフ・リヒテル記念旧居博物館もプーシキン美術館の一部となっている。
オフィシャルサイト:pushkinmuseum.art
ソ連、そしてロシアが誇る成果の一つが宇宙開発だ。宇宙飛行士記念博物館は、ユーリィ・ガガーリンによる人類初の有人宇宙飛行20周年に合わせて、全ロシア博覧センター(ВДНХ)にオープンした。
ここには、月面車やロケットエンジンといったさまざまな宇宙開発技術が多数展示されており、その中には実際に使用されていた宇宙服や宇宙飛行士たちの個人的な品々もある。また、博物館のコレクションには宇宙をテーマにした多くの芸術品や、中に入ることのできる宇宙ステーション「ミール」の実物大模型まである。
博物館の近くには、ソ連を代表するロケット設計者であるセルゲイ・コロリョフ記念旧居博物館もある。ちなみに、宇宙飛行士の博物館を創設するというアイデアはまさに彼によるものだった。
オフィシャルサイト:kosmo-museum.ru
この博物館は特に子どもたちに喜ばれるところだろう。ここでは、生物の進化の歴史を辿ったり、細菌や微生物を詳細に観察したり、絶滅した生物がどんな姿をしていたのか見たりすることができる。また、貴重な植物の生体や古生物の化石、さまざまな鉱石も展示されている。
博物館の建物自体も注目すべきところだ。かつてのピョートル・シューキン邸を博物館にしたもので、19世紀末にロシア様式で建てられ、おとぎ話に出てくる「テレム」のような姿をしている。以前、この建物はロシア古代博物館として使用されていた。
オフィシャルサイト:gbmt.ru
ここは、ソ連の歴史とその制度的な弾圧を理解し意味づける上で大変重要な場所だ。なぜこの博物館を訪れるべきなのかについては以前ご紹介した。博物館には膨大な量の書類、実際の収容者による生々しい証言、彼らの個人的な品々、収容所生活の物品など、ソ連の最も恐ろしい拘禁施設に関するその他さまざまな展示物が集められている。
また、ソ連時代の弾圧をテーマにした絵画、ポスター、葉書き、彫刻、貴重な本なども見ることができる。博物館は現代的でインタラクティブなもので、多くの音声資料や映像資料を展示しており、かつての収容所の様子をVRで体験することもできる。
オフィシャルサイト:gmig.ru
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