中央ロシア空軍博物館には、様々な年代の希少な軍用機や民間機が集められている。中でも注目の展示機は、ソ連の超音速旅客機Tu-144、超大型輸送ヘリコプターV-12、宇宙飛行から帰還したBOR-5飛行体などがある。
モスクワから至聖三者聖セルギイ大修道院(トローイツェ・セルギエヴァ・ラーヴラ)に至る歩道は、ロシアで最も変わった観光コースの一つだろう。距離は、モスクワのクレムリンから計算すれば120km。アブラムツェヴォ博物館保護区とムラノヴォ博物館保護区、ラドネジとホチコヴォの両村を経由する。ただし、全ての道を通れるわけではなく、数キロメートルずつの短い区間を幾つか通って行ってもよい。
もちろん、大修道院のあるセルギエフ・ポサードまでは列車やバスでも行ける。市内には、有名な玩具博物館もある。セルギエフ・ポサードはマトリョーシカ発祥の地とされている。
モスクワ郊外には、世界的に有名なロシアの伝統工芸の産地が多い。その一つが、白と青の彩色で知られるグジェリ陶器(ラメンスキー地区)だ。グジェリ村は良質な粘土が産出し、煉瓦や管、タイルや玩具などが作られた。しかし最も名高いのが、鳥や花の不思議な文様を描いた彩色食器である。グジェリ陶器工場のツアーでは、陶工体験も可能だ。
ジョストヴォ村(ムィチッシ地区)で19世紀に発生した産業である。色鮮やかな花や蕾が描かれた盆は、他に類を見ない逸品だ。工場では製造の全工程を見学可能で、博物館では様々な変わり種の盆も鑑賞できる。
ロシニー・オストロフ(ヘラジカ島)国立公園は、モスクワとモスクワ州の北東の広大な敷地に広がっている。ムィチッシ地区のバイオステーションでは、この森林のヌシであるヘラジカたちを身近に観察可能。野生のヘラジカ、アカシカ、ニホンジカが生息しており、域内を散策できるほか、ツアーも組まれている。
メリホヴォの屋敷には、1892~1899年間にロシアの大作家アントン・チェーホフが暮らした。その記憶は現在も大切に受け継がれている。チェーホフ市近くに文学博物館がオープンしたのは1941年。チェーホフの親族が、チェーホフ本人の遺品なども含め、展示物の収集に協力した。
メリホヴォでは演劇や文学関係のイベント、展示会やコンサートなどが開催されている。
ラメンスキー地区には、18世紀末にネオゴシック様式で建てられた美しい屋敷がひっそりと佇んでいる。隣には、おとぎ話の宮殿のようなヴラジーミルスカヤ教会がある。設計は、ツァリーツィノの宮殿を手掛けたヴァシーリー・バジェーノフとされている。
モジャイスクのクレムリンがある丘は、市内を一望できる抜群のロケーション。市の中心部は18世紀当時の歴史的な区割りを今に残しており、モスクワ郊外の集落の歴史に関心がある人には興味深い場所だろう。モジャイスクの近くには「ボロディノ平原」博物館公園と、歴史的なボロディノ鉄道駅がある。
この邸宅は大作曲家が借りて、その生涯の最後の2年間を過ごした場所である。死の翌年である1894年には、この地に記念博物館がオープンした。チャイコフスキーの遺品、書籍、書斎のグランドピアノなど、全てが保存されている。
ソルネチノゴルスク地区にこの水源が出現したのは約200年前、イストラ川とセストラ川の間に水路に水を供給するためだった。風光明媚な土地で、1898年にイサーク・レヴィタンが画題に選んだのもうなずける。
イサーク・レヴィタン『湖、ルーシ』1899年
Russian Museum夏には水浴びや浜辺での日光浴も可能。寒い時期には、「プチェヴォイ・ドヴォレツ」博物館を訪れて18世紀のモスクワ近郊の生活を知るのも良いだろう。
冬季のヤフロマ(ドミトロフスキー地区)はスキー場がオープンする。もちろん、モスクワ郊外の丘はあまり高くないが、スキー場に至る道程は、スポーツに縁遠い方にも気に入ってもらえるだろう。
鉄道のサヴョロフスキー駅からヤフロマまでは、木製座席を備えた1980年代スタイルのレトロ列車が走っている。ヤフロマ駅からソロチャヌィ、ヴォレン、ヤフロマの各リゾートまでは、これまたレトロなIkarus製のバスが運行している。
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