モスクワのクレムリンで見逃せない10のスポット

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モスクワのクレムリンは、首都のシンボルでもあり、世界で最も広大な野外博物館でもある。この記事では最も重要なスポットを選んでご紹介するので、参考にすれば見学時に迷うことは無い筈だ。

1. イワノフスカヤ広場

 16~17世紀、この場所はモスクワの商業の中心だった。1329年にヨアンネス・クリマコス聖堂の周囲が舗装され、その東側がイワノフスカヤ、西側がソボルナヤと呼ばれるようになった。

 イワノフスカヤ広場では触れ役がニュースを発表していた。これが後に、現在までロシア語に残る表現「イワノフスカヤ中に叫ぶ」(非常に大声でかつ感情的に話すこと)になった。1505年に聖堂は解体され、その東側にイタリアの建築家ボン・フリャジンがイワン大帝の鐘楼を建設した。

場所:クレムリンのスパスカヤ塔側の入口の正面 

2. ツァーリ・プーシュカとツァーリ・コロコル

 ツァーリ・プーシュカは、世界最大の大砲である。重さは40㌧で、口径は890mm。本物の兵器として製造されたが、実戦で使われることは無かった。1586年に鋳造され、クレムリンのスパスキー門の前に置かれた。後にクレムリン内部の台座に移され、装飾用に鋳造された砲弾が側に積まれた。

 ツァーリ・コロコルは18世紀、アンナ女帝の治世の頃に作られた。世界最大の鐘で、高さ6.14㍍、重さは約202㌧。だが、一度も使われることは無かった。クレムリンの火災の際、穴に置かれていた鐘が熱せられ、これに水をかけたことで欠けてしまったのである。この時に欠けた破片は11.5㌧。現在、クレムリン内部に鐘本体が破片とともに安置されている。

場所:イワノフスカヤ広場とイワン大帝の鐘楼の近く

3. ウスペンスキー大聖堂

 大聖堂は、クレムリンの最も古い建築の1つだ。モスクワ大公イワン3世の命により、1475~1479年にかけて、イタリアの建築家アリストテレ・フィオラヴァンティを招聘して建設された。ピョートル1世の治世以降、ロシア皇帝の戴冠式がこの大聖堂で行われた。1917年までロシアの主教座教会だったが、現在は現役の教会である。

 大聖堂の中にはモスクワ最古のフレスコ画があり、その歴史は15世紀まで遡る。

場所:大聖堂広場、グラノヴィータヤ宮殿と十二使徒教会の間。

4. グラノヴィータヤ宮殿

 1487~1491年にかけて、イタリア人建築家マルコ・フリャジンとピエトロ・アントニオ・ソラーリによって建設された。ピョートル1世の治世が始まるまでの数世紀にわたり、ロシア皇帝のメインの広間があった。広間では皇帝が外国使節を引見し、重要な決定を下し、レセプションが催された。グラノヴィータヤとは「多面体の」という意味で、正面のファサード壁面を「ダイヤモンドの粗面石」、すなわち白い石を削った四面体のブロックで覆ったためである。

場所:大聖堂広場、薄ペンスキー大聖堂とブラゴヴェシチェンスキー大聖堂の間

5. タイニツキー庭園とクレムリン大広場

 クレムリンの城壁南部には広大な公園エリアがある。庭園は、恐らく14世紀から存在していたと思われる。19世紀、庭園の隣のクレムリン塔の1つにちなんでタイニツキー庭園と名付けられるまで、幾度となく改名されてきた。ここに1つの由緒ある植物がある。「コスモス」の名を持つ樫の木だが、これは史上初の宇宙飛行士ユーリー・ガガーリン自らの手によって植樹されたものである。

場所:クレムリンの南の城壁の下、アルハンゲリスキー大聖堂とタイニツキー塔の近く

6. 大クレムリン宮殿

 19世紀に建設されたこの建物は、皇帝の公邸だった。ニコライ1世の命によって建てられたものだが、ソビエト時代には政府の会議がここで行われていた。

 ユニークなビザンチン・ロシア様式の2階建てで、約25000m2という、実に広大な面積を有している。現在はその殆どが一般には立ち入り禁止となっている。その一部はロシア大統領邸宅であるが、ホールのごく1部は現在も見学可能である。

場所:クレムリンの南の城壁のそばのブラゴヴェシチェンスキー大聖堂の裏、ポテシヌイ宮殿の向かい側

7. ポテシヌイ(「楽しみの」)宮殿

 金箔の丸屋根と、上階に鐘楼階を備えたこの建物は1651年に皇帝アレクセイ・ミハイロヴィチの義父で貴族のミロスラフスキーのために建てられた。その後、この建物はポテシヌイ宮殿と呼ばれるようになった。まさにここで、ロシア史上最初の演劇が上演されるようになり、当時それは「ポテーハ」(楽しみ)と呼ばれたことから、この名称がついた。

場所:クレムリンの西の城壁、大クレムリン宮殿の向かい側

8. 武器庫

 この新古典主義様式の建物は、王室の宝物を保管・展示する博物館として1844~1851年に建設された。現在ここで、12~19世紀のロシアおよび外国の宝飾品、武器や甲冑、勲章、馬車、衣裳その他を見ることができる。地下室には「ダイヤモンド庫」があり、貴重な自然鉱や、王室の宝石類が展示されている。

場所:ポテシヌイ宮殿のそば

9. 国立クレムリン宮殿(大会宮殿)

 クレムリンの敷地内にある、ソ連時代の建設物。ニキータ・フルシチョフの発案で1961年に建設された。フルシチョフは、6000人収容可能な巨大なホールでの党大会開催を望んでいた。現在、この宮殿はロシアで最も格式高い劇場・コンサートホールとして使われ、国内外の最も有名なアーチストや劇団が公演を行っている。また、ここでメインのヨールカ祭り(新年の祭り)も行われている。

場所:クレムリンの西の城壁のそば、上院広場とトロイツカヤ広場の間

10. アルセナール(旧兵器庫)

 ピョートル1世の発案によって、18世紀初期の当時としては最大の建造物の1つがクレムリンの敷地内に建設された。皇帝は内部に兵器庫、軍事栄光博物館、戦利品保管室を設ける計画を建て、設計図にまで自ら手を入れた。ナポレオンは1812年にモスクワから撤退する際にこの建物を爆破したが、後に修復されている。現在はクレムリン連隊の兵舎と、司令室が置かれている。

場所:クレムリンの西の城壁の、上院広場とトロイツカヤ広場の間

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