部屋を探すには、インターネットまたは賃貸業者を通じたいくつかの代表的な方法がある。
最初の方法はきわめて簡単である。賃貸情報アプリをダウンロードして、自分に合った条件の家を探し、貸主と連絡をとり、支払いを済ませればよい。
もっとも利用者が多いアプリはCIAN、Avito、ヤンデクス不動産。これらのアプリを使えば、ロシアに入国する前に、部屋を探しておくことも可能である。
このような方法で部屋を見つければ、仲介者を立てずに済み、直接、部屋の貸主と連絡することができる(フィルターを使うこと)。これにより、業者への手数料を節約することができる一方で、これらの準備は自分自身でやることになる。
もう一つ、賃貸情報が見られる場所はソーシャルネットワークである。住居を貸したいという人のためのグループは多くの都市にある。たとえばモスクワにはフラッツ・フォー・フレンズというグループがある(部屋を探しているという情報を投稿し、貸主からの連絡を得ることができる)。 またサンクトペテルブルクには、ストップアゲントというグループがある(こちらは貸主が広告を出している)。
一方、業者を使って家を探すのはお金がかかり、また手続きもより複雑となる。というのも、その場合はロシア国内にいなければならないからである。 しかし、少なからぬ手数料さえ払えば、部屋探しのあらゆる手続き、作業を一手に引き受けてくれる。業者はそれぞれ異なる料金設定をしているが、賃貸料の1ヶ月分を支払うという場合が多いようだ。
もし自分にぴったりの条件の部屋が見つかり、長期間借りることに決め、料金にも納得すれば、貸主と連絡を取る。しかし、広告にある料金は最終的なものでない場合もある。
貸主が記載する賃貸料には、公共料金(電気、水道、ガス、共益費)やインターネット料金、テレビの受信料などが含まれていない場合がある。貸主と会うときには、必ず、賃料には何が含まれていて、何を別に支払う必要があるのか確認する必要がある。
公共料金の金額は暖房費の有無で、季節によって変わる。暖房のシーズンは10月から4月までで、ロシアの多くの住宅では、集中暖房になっているため、いずれにしても暖房代は支払わなくてはならない。集中暖房が完備されている住宅では、自分の都合でつけたり消したりできない。
長期賃貸の場合、契約書を必ず交わさなければならない。契約書があることで、あなたの権利も、家主の権利も守られる。契約書には現住所を記入すること。また賃貸であるということを書き入れること。またそれがアパートであれば、アパート(居住スペースや居住空間などではなく)と記載されていることを確認すること。
契約書には必ず、賃貸料、デポジットの額、賃貸期間、双方の責任(貸主が住居を確認しにくる頻度、訪問する場合いつまでに知らせなければならないかなど)を書き記す。
契約書に賃貸期間を記載しない場合は、5年契約と見なされる。
またロシアでは通常、契約は1年ごとではなく、11ヶ月ごとに結ばれることになっている。これは家主が賃貸に対する税金を支払わなくてよいためだと言われている。実際には、自然人ではなく法人が借りる場合には、賃貸契約を税務署に登録しなければならないのだが。すべての貸主が細かいことを知っているわけではなく、11ヶ月の契約を結ぶことで、罰金を取られるのを防いでいる。
契約書を締結した後すぐにデポジット(保証金)の支払いを求められることがある。これは、貸主と借主の双方が契約書の内容を遂行することを保証するものとして、1度だけ支払われるものである。たとえば、所有者の財産を破損した場合、そのデポジットが破損品の交換費用として使われる。デポジットは、賃貸契約が終了したときに、契約の規則を何ら破っていなければ、返金されるものと法で定められている。
その額は貸主が決められるものだが、1ヶ月の賃料の20%であることもあれば、200%(これも標準的な金額である)であることもある。
とはいえ、要求されるデポジットの額があまりに大きい場合(5〜6ヶ月分の賃料)、なぜそれほど多くのデポジットを支払う必要があるのか、具体的な理由を確認すること。また契約書はよく読むこと。このデポジットについても記載が必ずある。
物件への入居および退居の際に、契約書と並んで同じくらい重要な書類。これは部屋にあるもののリストで、家具、機器、すでにある傷などについて書かれている。この書類があれば、退居のときに家主と紛争が起こった際、不当な請求を回避することができる。
そしてもっとも重要なことは、外国人は居住地、つまり借りたい住居がある住所で一時的または定住の住居登録をする必要があるということ。登録の手続きは所有者である貸主が行うのだが、たとえ一時的であっても、自分の住居に他人を登録することはできないという人もいる。もし貸主が登録することに同意してくれた場合は、書類一式(パスポート、到着証明、ヴィザ、入国カード)を用意する必要がある。審査には1労働日かかる。
短期間部屋を借りるのは、長期に比べて簡単である。短期の賃貸情報サイトですべて手続きすることができる。もっとも人気のあるサイトはOstrovok(ブッキングやAirbnbはロシアでは機能していない)。サイトで予約をした場合は、契約書を結ぶ必要はない。
また短期の賃貸物件は、CIAN、Avito、ヤンデクス不動産で探すことができる(1日ずつというフィルターをかける)。
契約書を作るかどうかはあなた次第である。多くの場合、貸主は賃貸期間の100%の前金を要求してくることが多い。ただしこの場合は公共料金やインターネット料金、テレビの受信料は支払わなくてもいい。デポジットも要求されない場合がほとんどである。
インターネットで部屋を探すときにはすべての情報を注意深くチェックすること。そこには住居に関する基本情報がすべて書かれている。賃貸料、期間、部屋についている機器、そして部屋の写真。写真は多ければ多い方がよい。またその賃貸広告がどれくらいの期間出ているのかをチェックすることも大切。長い期間にわたって、情報が掲載され続けているということは、何か問題がある可能性がある。
また詐欺に遭う可能性もある。どのような場合にその可能性を疑うべきか、いくつかの兆候を集めた。
1. あまりに賃料が安い場合。特に目立った不備もないのに、賃料が平均より20%以上安いときは注意した方がよい。何か問題があり、後でそれに気づくことになるかもしれない。
2. 最初の支払い金額があまりに大きい場合。最初の支払いは2ヶ月分の賃料を超えることはない。多くの支払いを要求された場合は、物件に損害を与えたなどと言って、退居を求められ、保証金の一部しか返してもらえない可能性がある。
3. 部屋を見に行く前に、パスポートや銀行口座を送るよう言ってくる場合。個人情報が不法な目的で使用される可能性が高い。
4. パスポートを担保にすると言われた場合。どんなことがあっても、身分証明書を担保として手渡してはならない。これは不法行為である。
5. 部屋を見に行く前に手付金を要求された場合。手付金は、入居希望者が多い場合に、すぐに借りる権利を受け取るものとして求められることが多い。賃料がどのようなものであっても、それは契約書に記入されるものであり、部屋を見るまではいかなるお金も払わなくてよい。その金を持って、貸主が消える可能性がある。
6. 所有者が部屋の書類を見せるのを拒んだ場合。つまり、それは貸そうとしている住居に対する権利を持っていることを証明することができないということであり、将来的に、賃貸人に問題が生じる可能性がある。
7. 所有者が契約書の締結を嫌がった場合。正直な貸主は口約束だけで契約したりすることはない。というのも、これは貸す側にとっても、スムーズな支払いを受け取り、居住者と紛争が生じた場合に自身の権利を主張する保証になるからだ。
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